丸亀名物・骨付鳥 老舗店主が語るこだわりの一皿

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丸亀市を代表するグルメといえば、骨付鳥。通町商店街の入り口すぐ側にある居酒屋「りぶや 丸亀本店」は、オープンから15年を迎える老舗で、定番の塩コショウ味はもちろん、他では食べられないオリジナル味の骨付鳥を提供しています。
地元の人だけでなく、観光や仕事で丸亀市を訪れた人からも愛されている秘訣を探るために、お店を訪ねました。

迎えてくれたのは、店主の松永ジュリさん。お客さんからは「ジュリママ」の愛称で慕われています。ジュリさんはフィリピン出身で30年ほど前に来日し、結婚を機にご主人の故郷である香川県にやってきたそう。骨付鳥を初めて食べたのも、そのときです。「フィリピンも鳥料理がたくさんあるから、親しみやすかった。スパイシーでおいしい料理だなと思いました」と振り返ります。

実は、小さな頃から料理が得意だったジュリさん。おいしい骨付鳥を食べたことをきっかけに「いつか自分が考えたレシピで、骨付鳥を提供してみたい」という夢を抱きます。

ジュリさん:私は昔から料理が好きやったんやけど、叔母がサウジアラビアの王様の料理人をしていて、彼女がフィリピンに帰ってくるたびに、料理する姿をそばで見て 、その技を学び取りました。フィリピンの料理とサウジアラビアの料理はまったく違っていたから、調味料の使い方や調理法など、たくさんヒントになることがありました。それでますます、料理するのが楽しくなったんです。

りぶやを開くまでは、スーパーのなかにあるフードコートの調理担当として11年間勤務。そこで日本人好みの味を学んだり、効率よく調理するスキルを身につけたりしました。そして 2011年、ご主人と共に念願のお店をオープンさせます。店名「りぶや」は、骨付鳥と並ぶ看板メニューとなっている「スペアリブ」から名付けました。

りぶやの特長は、2種類の骨付鳥を提供していること。王道の塩コショウをベースにした「カラドリ」と、オリジナルの「アマドリ」です。どちらもジュリさんが、これまでに培った料理の知恵と経験を活かしてレシピを完成させました。「食材を見れば、どの調味料で味つけすればおいしくなるかがすぐに分かるんよ」とジュリさんは微笑みます。

実際に「カラドリ」を食べてみると、ただパンチがあるだけではなく、鶏肉のうまさを引き立てる味つけになっていることが分かります。一体どんな調味料を使えば、こんなにおいしくなるのか知りたいところですが、レシピは門外不出!従業員ですら、知らされていないそうです。

塩コショウをベースにした「カラドリ」

もうひとつの「アマドリ」は、ニンニクのパンチが効いた醤油ベースの味つけに甘さがしっかりと絡み、後を引くおいしさ。どこかジュリさんの故郷、フィリピンの料理を彷彿とさせます。
白ごはんとの相性もバツグン!秘伝のタレに4日間(!)漬け込んでいるので、中までしっかりと味が染み込んでいるのもポイントです。

ジュリさん:最初は、バーベキュー味の骨付鳥を提供していました。というのも丸亀市には、さまざまな国の方が住んでいるから、どの国の方にも馴染みがある味つけにしたいなと思って。バーベキュー味が好評だったので、それをさらに進化させる形でアマドリを完成させました。隠し味は……秘密(笑)。ひとつだけ教えると、お酢だね。

なるほど、鶏の臭さをまったく感じないのは、お酢のおかげなのかと合点がいきました。ご主人が大のお酒好きということで、りぶやでは常時450種類ほどのお酒がスタンバイ。「カラドリ」「アマドリ」ともに、お酒のおつまみにもぴったりです。

一度食べたらヤミツキになると評判の、りぶやの骨付鳥(カラドリ)は、丸亀市のふるさと納税の返礼品にも選ばれています。きっかけは、丸亀市からの声かけ。当時、丸亀市の名物である骨付鳥が返礼品のラインナップに入っていなかったことから、真空パックの骨付鳥を製造していたりぶやに白羽の矢が立ったのだそう。「丸亀市の名物を、全国の方に知ってもらえるきっかけになれば」と、ジュリさんも快諾。ふるさと納税を通じて、丸亀市の味を全国へ届けています。

今回の取材を経て、りぶやが愛されるもう一つの理由に気づきました。それは、陽気な性格ととびきりキュートな笑顔で周りを明るく照らす、ジュリさんの存在です。今でこそ、連日満員御礼のりぶやですが、開店して2年ほどは人がまったく来なくて途方に暮れていたそう。しかし、おいしい食事とジュリさんの人柄に惹かれてリピーターが増え、人気店になったといいます。

ジュリさん:ウチに来てくれたお客様さんが「ママに会いたい」と言って、リピートしてくれるようになったんです。旅行やお仕事で丸亀に来るたびに、寄ってくれる人もいます。「あれ?久しぶりに来たら、ママ太ったね」「うるさい!」みたいな軽口をたたき合うんだけど、そういう関係でいられることが、本当にうれしい。皆様のおかげさまで、ここまで続けてこられたからね。
私はとにかく、おしゃべりが大好き。最近は、旦那さんに「キミはいらんことまで話すから、奥でおとなしくしときなさい!」って注意されとるんやけど(笑)。あはははは!

ジュリさんの豪快な笑い声を聞くと、日々抱えているモヤモヤまで飛んでいってしまうような感覚になります。「ありがたいことに、お土産用真空パックの製造が忙しくて、近頃は製造工場にいる時間が長いの。それでも、なるべくお店に立てるようにがんばっているよ」とのことだったので、もしもお店で豪快な笑い声が聞こえてきたら、ぜひジュリさんとのおしゃべりも楽しんでくださいね。