暮らしの数だけ物語がある。世代を超えて語る丸亀市

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丸亀市で育った10代。まちを離れ、外から故郷を見つめる20代。そして、子育てをしながら日々のくらしを紡ぐ30代。
立場や年齢は違っても、それぞれの人生の節目には、いつも「丸亀市」がありました。

異なる世代の声を通して見つめる、丸亀市の暮らしと、その魅力を紹介します。

高校生(10代)丸亀市でのわたしのセイシュン

地域と向き合いながら社会問題に取り組む、大手前丸亀高校の活動団体「TSUNAGU」。

メンバーの小倉さん、近藤さん、福家さんに、取り組みを通して感じたまちの魅力や、自分自身の変化、そしてこれからの丸亀市への想いを語ってもらいました。

左から福家さん・近藤さん・小倉さん

「TSUNAGU」に参加したきっかけは?

小倉さん:私は中学1年から参加しています。最初は友だちにごみ拾いに誘われたことがきっかけでした。

近藤さん:ぼくは高校生になってから参加しました。中学生のときは参加できるボランティアが限られていたんですが、高校生になってボランティアの幅が広がり、時間にも少し余裕ができたので、この時間を有効活用できたらいいなと思ったことがきっかけです。

福家さん:私は先輩が「こういう活動があるから参加しない?」と誘ってくれて参加しました。

「TSUNAGU」ではどんな活動をしていますか?

小倉さん:活動は大きく分けて3つあります。
1つ目は、海・川・陸のごみを拾う「えころとんぐ。」という活動です。朝や放課後に学校周辺やまちのごみを拾っています。外部のごみ拾いにも積極的に参加していて、土器川でごみ拾いをすることもあります。

近藤さん:2つ目は、「TO-GATHER」という、ごみをごみにしない活動です。フードドライブ活動では、子どもたちに食品を届けているオアシス丸亀さんに寄付をしたり、使わない文房具を回収して小児がんを支援している NPO 法人未来 ISSEY さんに寄付したり、コンタクトレンズのケースを回収してリサイクルにつなげたりしています。

福家さん:3つ目は、「まる Cafe」です。2024年から月に1回、学校の食堂で丸亀市の特産品を使ったメニューを販売しています。
丸亀市のタンジールカフェさんのレモネードはメニューの一つで、廃棄していた中津万象園の松の落ち葉をグランドカバーにして育てたレモンを使っています。

食材探しも自分たちで行っていて、生産者に会いに行くこともあります。

福家さん:「丸亀市市制20周年記念 まるがめ地域活性化 高校生プランコンテスト」(2025年)では、丸亀国際ハーフマラソンで市の特産品を使った商品を販売するという「まる Cafe」の提案が最優秀賞に選ばれて、オリーブ牛丼や地元の魚を使った天丼などのメニューを開発しました。

丸亀市は 2025年に「世界の持続可能な観光地 TOP100選」に選ばれました。私たちの「TSUNAGU」の活動もその理由の一つになっています。

活動を通して、自分の中の気持ちや丸亀市に対する思いは変化しましたか?

小倉さん:私が成長したと感じているのはコミュニケーション力です。以前は人と話すときに考えがまとまらなかったり、うまく伝えられないことがありましたが、中1から活動に参加して、伝える力が身についてきました。今は緊張しなくなって、落ち着いて話せるようになりました。

最近は学校の近くにマルタスができたり、イベントがよく開催されるようになったりして、人と人とがつながれる場所が増えているのがいいなと思っています。

近藤さん:ぼくは、活動を通して地域の人と関わる機会が増えました。子どもからお年寄りまで、相手によって話し方や接し方を変えないといけないので、言葉のレパートリーが増えたし、自分の視野が広がったと感じています。

ごみ拾いをしていると、地域の方から「朝早くからありがとう」「まちがきれいになって気持ちがいい」と声をかけてもらえてうれしいですし、やりがいにもなっています。私たちのごみ拾いだけが理由ではないですが、市役所前のごみも減ってきたと実感しています。

福家さん:私は高松から通っていますが、入学してはじめて丸亀市を訪れました。外から見たら、丸亀市にはたくさんいいところがあります。丸亀城もマルタスもありますし、イベントも魅力的です。

でも、丸亀に住んでいる方はそれが当たり前になっていて、魅力に気づいていないと感じていました。そのギャップを埋めたくて、丸亀国際ハーフマラソンで「まる Cafe」を開くことにしたんです。
食べてくれた人が「おいしい」って言ってくれると、丸亀市の魅力を広めることができたかなと、うれしくなります。

今は、丸亀の魅力をもっと市民やたくさんの人に知ってもらいたいという気持ちが強くなっています。

10年後、20年後の丸亀市はどんなふうになってほしいですか?どのように関わりたいですか?

小倉さん:マルタスやこれからできる丸亀市民会館 THEATRE MAdo(シアターマド)など、新しい施設が増えるとイベントも増えると思います。
観光客や丸亀に住みたいと思う人が増えて、活気あふれるまちになってほしいです。

福家さん:私も、丸亀城のような歴史的なものと、マルタスのような新しい施設が融合して、たくさんの人が来てくれるようなまちになったらいいなと思います。

近藤さん:今、ぼくたちがやっている活動を、10年後、20年後の高校生が同じ志を持って続けてくれて、丸亀市のいたるところで高校生が主体となったイベントが開かれていたら、うれしいですね。

ぼくは、丸亀市がもっとにぎわうために何ができるのかを大学で研究したいと思っています。大学を卒業した後は、地域活性化やそういった活動をしている学生のサポートができるような立場になれればいいなと思っています。

小倉さん:そうだね。私たちが始めたイベントがもっと広がって、いろんなところに出店するようになっていたら、そこに私もOBとして参加したいです。

福家さん:私はもっと丸亀の魅力を見つけて、その魅力をほかの人にも知ってもらえるような活動をしてみたいと思います。

高校生の一歩が、丸亀の未来につながっていく

3人の言葉から伝わってくるのは、丸亀市と向き合い、自分たちなりの関わり方を見つけていこうとする、等身大の想いでした。
この一歩一歩が、10年後、20年後の丸亀市につながっていく。そんな未来が見えてくるようです。

二十歳 わたしを育ててくれた丸亀市

成人式の実行委員会のメンバーとして活躍した、秋澤さん(市内在住・学生)、桒原さん(市外在住・社会人)、吉田さん(市外在住・学生)。
子どもの頃の丸亀市での思い出や成長して感じた丸亀市の印象など、二十歳のリアルな声を聞いてみました。

左から秋澤さん・吉田さん・桒原さん

今、どこに住んで、何をしていますか?

秋澤さん:丸亀市に住んでいて、専門学校で建設環境工学を学んでいます。部活の先生が水の研究をしていたことから、その分野に興味を持ちました。
水まわりのインフラに関連する会社に就職が決まり、春からは社会人としてスタートするところです。

桒原さん:私は東京に住んでいて、会社を経営しています。高校卒業後すぐに起業して、企業のオンライン販売支援や地域活性化事業に取り組んでいます。
東京という場所で自分の力を試してみたいと思い挑戦しました。最近は地方の特産品を扱うことも多くなってきました。

吉田さん:私は大阪で大学と専門学校に通っています。将来は税理士を目指していて、今はそのために勉強中です。きっかけは母が簿記 1 級の勉強をしているのをそばで見ていたから。私も母のようになりたいなと思いました。

子どもの頃、丸亀市はどんなまちでしたか?

秋澤さん:一言でいうと、自分の家のような温かい気持ちになるまちでした。近所のおじさんやおばさんが「おはよう」「おかえり」と声をかけてくれて、それに対して「行ってきます」「ただいま」と返すのが当たり前でしたね。

桒原さん:それ、すごく分かります。外に出たからこそ気づいたんですが、丸亀では困っていたら周りの人が自然と手を差し伸べてくれました。自転車で転んでしまったときに、近くにいたおじいちゃん、おばあちゃんが「大丈夫?」と心配してくれた経験があります。丸亀では当たり前でしたが、実はすごく恵まれていたんだなぁと感じました。

吉田さん:私にとって丸亀は、田んぼの景色が身近にあるまちでした。季節が変わると、景色や匂いも変わっていくのを学校の帰り道に感じていましたね。

思い出に残っている、丸亀の風景や場所は?

秋澤さん:小学校のときにみんなで登った飯野山が思い出の場所です。今でもたまに小学校や中学校の頃の友人と登っています。山の上からは自分が育った丸亀のまちが一望できて「自分のまちだな」と感じますね。

桒原さん:私は丸亀城です。中学生の頃は春の丸亀お城まつりや秋の丸亀キャッスルロードが、毎年とても楽しみでした。同級生で集まって初日の出を見たことも大切な思い出です。

吉田さん:私も丸亀城が思い出の場所です。小学校が丸亀城に近く、昼休みには芝生広場で遊んでいました。中学校や高校のときには楽器を演奏をしたり、マラソン大会があったりと、生活の中にいつも丸亀城がありました。
今も丸亀お城まつりのあるゴールデンウィークには必ず帰ってきて、家族が集まる日になっています。

5年後、10年後、あなたと丸亀市はどんな関係でありたいですか?

秋澤さん:祖父は土木技術者で、高速道路工事の現場監督をしていました。地元のまちづくりに貢献する祖父の姿を見て、自分もそんな技術者になりたいと思い、専門学校に進みました。
これからは人の役に立つ仕事をして、丸亀市に貢献していきたいです。

桒原さん:私がやっている地域活性化事業は、地域を助けることができる事業だと気づきました。SNSによる認知度向上や地域の特産品のネット販売支援で、まだ広まっていない丸亀市の魅力を世界に伝えていきたいです。
たとえば、丸亀の魚って本当においしいんですよ。そういう魅力をどんどん売り出していきたいですね。
仕事では若い世代向けのイベントを企画しているので、丸亀市の中高生が楽しめるイベントやリフレッシュできる場も作れたらいいなと思っています。

吉田さん:私は丸亀市で税理士事務所を立ち上げたいと思っています。
母から、丸亀市の商店街は昔はもっと栄えていたと聞きました。税理士として地元の企業の経営を支えて、商店街や丸亀市が元気になるように貢献したいです。

それぞれの場所から、同じ「丸亀」を想う

住む場所も、歩んでいる道も違う3人。「帰る場所がある」「また関わりたいと思えるまちがある」そんな想いを胸に、それぞれの場所で歩み続ける3人が、また丸亀市でつながる日がくるかもしれません。

社会人(30代)丸亀市で次の世代を育む

丸亀市出身の元宗さん。大学時代は大阪で過ごし卒業後は香川県にUターン。アパレル業界やフラワーショップでの経験を積んで、2020年に丸亀市でフラワーショップを開業。

今は小学2年生と1歳5カ月の子どもを育てながら店舗経営のほか、ブライダルの仕事や通販事業も手がけています。

子育て世代の視点から、丸亀市の住みやすさや子育て環境を語ってもらいました。

丸亀のフラワーショップ「fog -life with nature-」の元宗さん

丸亀市の子育てしやすさについて、どう思いますか?

元宗さん:
上の子が小学校2年生、下の子はまだ1歳5カ月。毎日忙しいながらも、「丸亀で子育てできてよかったな」と思う瞬間がたくさんあります。

まず助かっているのが、放課後留守家庭児童会(学童)や保育園の環境です。上の子は放課後に学童に通っていますが、同じ学校の友だちと遊びながら宿題もできて、夕方まで安心して過ごしています。学童のおかげで、私も夕方のお客さんが多い時間帯も仕事に集中することができます。ここの校区は児童数が多いのですが、学童の受け入れ人数も多くて、高学年の子どもでも学童を利用することができるので心強いです。

下の子は近くの保育園に通っています。普段は16~17時頃にお迎えに行きますが、延長すれば19時まで預かってもらえます。

土曜日にブライダルの仕事が入ると、1日家を空けることもあります。そんなときは夫が育児を担当してくれますが、土曜日にも学童や保育園が利用できるのですごく助かっています。

教育環境の面では図書館の存在も大きいですね。丸亀駅前にある丸亀市猪熊弦一郎現代美術館に図書館が併設されていて、家からも近く便利です。子どもの本がとても充実しているから、興味が変わりやすい子どもにとっては、いろんな本が読める、魅力あふれる場所です。上の子が幼稚園のときには幼稚園に移動図書館車が来ていて、本に触れる機会も多くありました。

子どもはどこで遊んでいますか?

元宗さん:
丸亀市は子どもの遊び場も選択肢が多いですね。公園はもちろんですが、まるがめボートレース場の隣にある「Mooovi(モーヴィ)まるがめ」は屋内で遊べる施設なので、夏場の暑いときや天気の悪い日にけっこう利用しています。男の子なので、丸亀市総合運動公園内にある東洋炭素アーバンスポーツパーク丸亀でバスケットボールやスケートボードなども楽しんでいます。

また、丸亀市市民交流活動センター マルタスの2階には、無料で遊べるキッズスペースがあって、木のおもちゃやボードゲームで遊ぶことができます。どちらかというと幼稚園ぐらいの子が対象なので、下の子をよく遊びに連れていきます。月齢が小さい子が遊べるスペースには、積み木などのおもちゃや絵本もあります。

上の子は虫が好きなので、少し行けばカマキリやバッタなどの生き物や自然と触れ合える環境があることも丸亀市のよいところだと感じています。

子どもが病気になったときの支援体制は?

元宗さん:
18歳までは医療費がかからないので、子育て世代にはありがたいです。小さいうちは、ちょっとしたことで病院に行くことも多いので、「お金の心配をせずに受診できる」という安心感は大きいですね。小児科や耳鼻科、皮膚科も身近にそろっているので、何かあったときにすぐ頼れるのが心強いです。

地域コミュニティとの関わりは?

元宗さん:
ここに引っ越してきたときは、長年住んでいる方が声をかけてくれたり、こんなときはこうしたらいいよとか教えてくれたりして温かい雰囲気を感じました。新しく入ってくる若い世代もいれば、ずっと住んでいるご年配の世代もいて、バランスがよいと思います。

うちは自治会に入っていて、餅つきや夏のお祭り、神社の清掃などに参加しています。子どもたちもそこで学校の友だちと会ったり、上の学年のお兄さんに教えてもらったりと交流が生まれています。ほどよい距離感で関われるので心地よいですね。

これからの丸亀市での子育てへの思いを教えてください

元宗さん:
私が丸亀市で学生時代を過ごしていたときには、丸亀市のよさをあまり意識せず、そのまま県外に出て行ってしまいました。子どもの頃は何もない場所だと思っていましたが、いざ自分が子育てをしたり、ここに家を建てようと思ったりしたときに、穏やかな気候や自然、丸亀城の歴史やさぬきうどん、そしてアートがあることに気づくことができました。それは外に出たからこそ、実感することができたのだと思います。

子どもたちには、そんな魅力を無意識に吸収しながら、のびのびと育ってほしいと思っています。自然が近くて生き物にもすぐ出会える。アートや歴史も身近に感じられる。きっと今は、当たり前すぎて気づかないかもしれないけれど、大人になったときに「こんな場所で育ったんだな」って思ってくれたらうれしいですね。

丸亀市での日常が、いつか子どもたちの原風景になる

仕事も子育ても無理なく続けられる日常があること。そしてその日常がいつか、子どもたちの心に残る原風景になる。元宗さんの言葉からは、そんな丸亀での子育て風景が見えてきました。