山田月善さんが紡ぐ、丸亀飯南の桃150年の歴史

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夏が近づくと、多くの人が楽しみにする丸亀飯南の桃。

飯南エリアの桃づくりの歴史は、今から約150年前、この地にはじめて桃の木が植えられたことで始まりました。
その歴史のバトンを受け継ぎ、25年にわたって桃づくりに向き合ってきた山田月善(やまだ つきよし)さん。
飯野山を仰ぎながら桃を作り続ける山田さんの、歩んできた人生や地域への思いを伺いました。

丸亀市の桃栽培、150年の歴史

丸亀市の桃づくりは、1878年(明治11年)に始まりました。
当時の坂本村(現丸亀市飯山町)の初代村長である宮井茂九郎(みやい もくろう)さんが、飯野山(いいのやま)の南麓に桃の木を植えたことが始まりとされています。
香川県の桃の約7割が丸亀市飯南エリアで栽培されており、全国有数の産地として知られています。

-丸亀市の飯南エリアが桃栽培に向いているのはなぜですか。

飯野山の斜面は水はけがよく、雨が多く降っても水が溜まらず、すっと流れていく。それが糖度の高い桃ができる理由です。
宮井茂九郎さんがここに桃の木を植えたのも、水はけのよさがあってこそ。
さらに、昼夜の寒暖差も刺激になって、より甘い桃になっていると思います。

-桃栽培のこだわりを教えてください。

やっぱり土づくりですね。
同じ畑で作り続けると、「嫌地(いやち)」といって桃の育ちが悪くなります。
そのため、畑に新しい花崗土(かこうど)や堆肥を入れた土づくりが欠かせません。
飯南エリアは桃づくりに向いている土地ですが、その恵みに甘えているだけではだめ。
代々の生産者が土づくりに力を入れてきたからこそ、150年続く産地に発展したのだと思います。

父から受け継いだ桃栽培

山田さんの家が桃の栽培を始めたのは父の代から。家業としての歴史は60年以上になります。

-山田さんご自身はいつから桃の栽培を始めたのですか。

本格的に取り組むようになったのは、役場を退職した60歳のときで、もう25年になります。25年の間に、自分なりのやり方を少しずつ工夫してきました。

-桃づくりに本気で向き合うようになったきっかけは?

親が作っているのをずっと見ていましたが、自分で収穫して、お金をもらうようになって初めて本気になりました。
思うような出来にならなかった年は原因を真剣に考え、翌年の栽培に生かす。それを繰り返してきました。
人よりもおいしい桃を作ろうと思ったら、自分なりのやり方を見つけないといけません。工夫したことがうまく実になったときはうれしいですね。

地元丸亀で愛される山田さんの桃

土づくり、水の管理、木の剪定、実の袋がけ、防虫対策。
山田さんが一年を通して積み重ねた手間や工夫の先に、お客さんの笑顔があります。

-そうしてできた桃は、どんな人たちのもとへ届いていますか。

収穫の時期になったら、丸亀や香川県内から、昔からの常連さんが買いに来てくれます。
なかには25年来のお客さんもいます。ずっと買い続けてくれるのは、やっぱりおいしいと思ってくれているのかなと。
「1年ぶりやな」と声をかけてくれ、桃を楽しみにしてくれていることが一番の励みです。

飯野山を眺めながら、丸亀で生きる

飯野山のふもとで育ち、長年暮らしてきた山田さん。

-毎日の暮らしの中で、地元丸亀に対してどんな思いがありますか?

朝5時半に起きて、まず窓から飯野山を眺めるんです。
朝ごはんを食べた後は畑へ向かい、桃を収穫するのが、長年変わらない朝の風景です。
飯野山を見ると、丸亀の地で暮らしているんだなと実感します。
この地を離れて暮らすこともできたかもしれませんが、毎日自然とともに暮らし、人とのつながりの中で桃を作りながら暮らせていることに、ありがたさを感じますね。

150年より先へ、山田さんが描くこれからの飯南の桃づくり

150年の歴史を誇る飯南の桃は、特産品として成長してきた一方、後継者不足という課題にも直面しています。

-飯南の桃を未来へつなぐために必要なことは?

まずは丸亀飯南の桃のブランドをもっと高めていきたいです。
品質の高い桃を安定して生産し、適正な価格で販売できる環境が整えば、新たに桃づくりに挑戦する人も増えるかもしれません。
そのためにも、毎年大きくておいしい桃が作れるように、これからもさらなる工夫が欠かせません。
コンスタントにおいしい桃を作れば、お客さんはこれからも買ってくれるし、それが飯南の桃の信頼にもつながっていくと思います。

桃の木を植えた先人たちから受け継がれてきた飯南の桃づくり。
その歴史は、生産者の情熱だけではなく、桃を楽しみに待つ地域の人々によって支えられてきました。

飯野山のふもとで育まれてきた150年の歴史は、丸亀市民にとっては誇りとして、市外の方にとっては訪れてみたくなる魅力として、これからも多くの人の暮らしとともに続いていきます。
飯南の桃には、人の思いと地域の豊かさ、そして丸亀ならではの魅力が詰まっています。